ウイスキーの世界は、スコットランドやアイルランドなどの名だたるウイスキーが支配しているように思われがちです。しかし、世界にはまだ知られていないウイスキーの宝庫が存在します。そこで今回は、インドのウイスキー業界の隠れた銘酒、ポールジョンウイスキーにスポットを当てたいと思います。もし、インドのウイスキーに興味があったり、ポールジョンを飲んだことがなかったり、世界5大ウイスキー以外のウイスキーに興味がある方にとって、この記事は必読です。さあ、インドのウイスキーの魅力に浸り、インディアンウイスキーの世界へと誘われましょう!
今回の記事で紹介するウイスキー・・・インド産のシングルモルトウイスキー【ポール・ジョン】(PAUL JOHN )
今回はこちらについて、ざっくりと解説していきます。
ポール・ジョンとは?
ポール・ジョン(PAUL JOHN)とは、インドで第4位の総合酒類メーカーであるジョン・ディスティラリーズ社が2004年にリリースを開始したインディアン・シングルモルト・ウイスキーです。
世界24ヵ国で発売されており、2017年に日本初輸入となりました。
ジョン・ディスティラリーズ社の本社があるのはインドのバンガロール(ベンガルール)でインドのガーデン・シティとも呼ばれるIT産業の中心都市です。ポール・ジョンは2008年に本社があるバンガロールから約500㎞北西に進んだ場所にあるゴア州に蒸留所が建設が決定し、2009年より本格的な生産が始まりました。
通常スコッチやジャパニーズウイスキーで使われる原料の大麦は二条大麦という種類なのですが、ポール・ジョンではあえて六条大麦を使用しているそうです。
六条大麦はデンプンの含有量が少なく、アルコールの収量が二条大麦に比べて減るというデメリットがあります。しかしメリットとしてタンパク質の含有量が多いため、うまみ成分が凝縮した口当たりの良いウイスキーが出来上がるという点があります。
またピート(泥炭)にもこだわりがあり、アイラ産と東アイランド産の2種類のピートをスコットランドから輸入し、製麦所に依頼してピーテッド麦芽を作っているそうです。
ウイスキーを蒸留するポットスチルやマッシュタン、発酵槽に至るまですべてインド産というこだわりの持ちよう…
生産地域としての特性としては、ウイスキーを熟成させる際に樽内で失われてしまう分(エンジェルズシェア)が年間約8%もあるという点があります。これはスコッチの約2%に比べ4倍にもなる量です。この差の原因ともいえるものが気温差になります。
インドは年間を通しての気温がスコッチ生産国であるスコットランドに比べ高く、熱帯地域という特性からエンジェルズシェア(エンジェルズシェア・・・樽の熟成過程において蒸発してしまうウイスキーの事。)が多いというデメリットがあります。しかし反対にメリットもあります。それは、気温が高い故に熟成の進みが早く、短期熟成でも円熟した味わいになるという点です。ひと昔前までは、気温が高い地域でウイスキー作りは向かないとされてきましたが、台湾のカバランやこのポールジョンなど気温が高くても素晴らしいウイスキーが作れるという事が証明されました。
以上のことから、ポール・ジョンは非常にこだわりを持って作られているウイスキーだという事がわかりますね!
ラインナップ
次にポール・ジョンのラインナップを紹介していきたいと思います。
1 ポール・ジョン ニルヴァーナ
アルコール度数:40%
ニルヴァーナとはサンスクリット語で「涅槃」を意味する言葉で、すべての苦しみから解放された状態または最高の喜びなどのことを指します。
こちらは2019年にリリースされたラインナップのひとつで3,000円台という価格帯で購入できる1本になります。
こちらのテイスティングについては、下のほうに詳しく書きましたのでよかったらテイスティングの項をご確認ください。
2 ポール・ジョン ブリリアンス
アルコール度数:46%
バーボン樽にて5~6年熟成。はちみつの甘さに加えスパイシーさも感じられる味わい。甘くかつ爽やかな香り。
ウイスキーバイブルにて94点という高評価を獲得したボトルになります。
3 ポール・ジョン エディテット
アルコール度数:46%
バーボン樽にて5~6年熟成。洋菓子のように複雑に重なりあった甘さ。はちみつの香りに加え少々のピート感とスモーキー。
ウイスキーバイブルにて96.5点を獲得。
4 ポール・ジョン クラシック
アルコール度数:55.2%
バーボン樽にて7年熟成。トロピカルにバーボンとはちみつを絡めた味わい。モルトの香りにフルーティーさとはちみつの甘さを足した複雑な香り。
ウイスキーバイブルにて95点を獲得。
5 ポール・ジョン ピーテッド
アルコール度数:55.5%
バーボン樽にて7年熟成。スパイシーさのなかにフルーツのようなジューシーさも感じれる味わい。スモーキーかつピートの効いた中にココアのような香り。
ウイスキーバイブルにて96点獲得。
テイスティング
最初に断っておきます。筆者はテイスティングが苦手です( ^ω^)・・・
ですので素人のウイスキー特有の表現に乏しい人間のテイスティングレビューだと思っていただいて構いません。
それでは早速テイスティングしていきたいと思います!
今回テイスティングしたのは【ポール・ジョン ニルヴァーナ】。
こちらをストレートで飲んでみた感想になります。
香り:
はちみつ、青りんご、熟した果実、かすかにピートを感じます。またチョコレートや焦がした砂糖のような甘いニュアンスがやや強め。甘いお香を焚いた部屋のにおい。
味:
少し粘性のあるテクスチャ。口に含むと潮っぽさを感じ、熟した果実のような濃厚な味わい。ピートを感じるがスモーキーといったわけではなくおまけ程度のピーティーさを感じます。フィニッシュは焦がした砂糖をかけたフルーツのような濃厚な甘さ。余韻は短くダークチョコ、いちじく、さつまいもを感じます。
以上が実際に飲んでみた感想になります。
飲む前は香りからしてすごく甘いのかな?と思いましたがそこまで甘いわけではなく、どちらかというとフルーティーさを強く感じました。個人的にはワインっぽい香りかなとも思います。
インドでは香辛料を多く使った料理が多いため、お菓子などはとても甘いものが多いそうです。このウイスキーも食後にゆったりとストレートで味わうと、ちょっとインドの富豪気分になれるかもしれません(笑)
まとめ
個人的にはとても美味しいウイスキーだと思いました。あの独特の香りと味わいは飲んでみて損はないと思います。ストレートでも美味しいですが、ハイボールにしてもポール・ジョンがもつ特徴をそのままに炭酸の爽快感が合わさるのでこれがまた美味しいです(*’ω’*)
個人的におすすめの飲み方は、ストレートかハイボールです。
ニルヴァーナであれば3,000台で購入できるのでコスパも良いと思います。もしお金に余裕があるのであればエディテットを買っても後悔しないのではないでしょうか。
余談ですがウイスキーの消費量が世界で最も多いのはインドだそうです。インド国内でもウイスキーが作られてはいますがほとんどが国内消費され、また品質もスコッチやジャパニーズウイスキーと比べると差があり話題になることは少ない状況でした。そんな中、アムルットや今回紹介したポールジョンが世界的に高評価を受け、ウイスキー好きの間で注目が集まるようになりました。そんなインドで作られるウイスキーだからこその味わいがこのポール・ジョンにあるのではないでしょうか。
興味があればぜひBarなどで試しに飲んでみてください!
それではこの記事はこれにて終了とさせていただきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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